TechDAS | Analogue Turntable

リファレンス機 Air Force One の特徴を確実に受け継いだフルサイズ・スタンダードモデル

Air Force Two

Analogue Turntable

Air Force Two は、リファレンスモデル Air Force One で確立した TechDAS 独自のエアーテクノロジーを、さらに低価格で実現させるために開発されたモデルです。 Air Force の核となるプラッター浮上(エアーベアリング)とディスク吸着機構をそのまま踏襲しつつ、製造コストを半減させる取り組みに挑みました。結果として、シャーシの構造からデザイン面に至るまで、ほぼすべてを新設計することとなりましたが、コストパフォーマンスに大変優れた魅力的な一品として結実させることができました。

正確なレコード再生に絶対的に必要な Air Force テクノロジー

レコード盤の細い溝には音楽信号がそのまま刻み込まれています。その細い溝を針先がこすって振動することにより音楽信号を拾い出し、それを電気信号に変換するのがいわゆるアナログプレーヤーの役割です。溝をこする針先の動きは非常で微細で、しかも、無音に近いような弱音部ではその動きはさらに小さくデリケートなものとなります。ターンテーブルの役割は、針先がレコード盤からミクロな信号を正確に拾い出すことのできるプラットフォームを提供することに他なりません。ターンテーブルは単にレコード盤を回すためだけのものではないのです。

ターンテーブルに求められる性能は、安定的かつ滑らかに回転するということが最低限必要なことですが、これは言葉で言うのは簡単ですが実現することは全く簡単ではありません。実現には大きな質量による大きなイナーシャを持つプラッターが必要になりますが回転するシャフトの下にあるベアリングに大きな荷重がかかることでそれ自体が振動の発生源となってしまい、プラッターの重さはどこかで妥協せざるを得ません。

またレコード盤の反りの問題もあります。反ったレコード盤を針先がこする時、針先は大きく上下動いたします。ミクロな振動を拾い出す針先にとってレコード盤の反りはまるでジェットコースターに乗っているかのごとき大きな振幅で、これで影響が無いわけがありません。

従来のターンテーブル設計では、ベアリングの機械加工方法の改善やレコード盤にスタビライザーを乗せることによる反りの低減、プレーヤー全体のスプリングのサスペンションなど、さまざまな試みがありましたがどれも相反する要素のバランスをとりどこかで妥協し折り合いをつけるしかなく、決定的なソリューションはなかったというのが事実です。

TechDAS の Air Force テクノロジーは、まさに革命的なソリューションを提供いたします。エアーで浮上したプラッターは従来のベアリングのような機械的な接点を持たず自身が振動源となることなく滑らかに回転いたします。またエアーで浮上させることによりプラッターの質量に対する制約が無くなり、十分に重いプラッターを使用することが可能となります。レコード盤を吸着させることによりレコード盤は真っ平となり、かつ、薄くて軽いレコード盤が重量のあるプラッターと一体化することによりレコード盤に盤石の安定性をもたらし、針先のトレース能力を飛躍的に向上させます。

プラッター浮上とディスク吸着

Air Force Two Premium では、他の Air Force シリーズと2つの主要なコアテクノロジーを共有しています。プラッター浮上(エアベアリング)とレコード盤吸着です。

安定したなめらかな回転はターンテーブルが絶対的に必要とするものです。理想的な回転を実現するには、慣性(イナーシャ)を十分に大きくする必要があり、そのためハイエンドターンテーブルには重量級のプラッターがつきもので、Two Premium もその例に違わず砲金製プラッターの重量は 34kg に達します。しかし従来のターンテーブルの設計では、このような重いプラッターは軸受に過剰な負荷をかけ摩擦振動を発生させて、かつ回転精度も低下させていました。

Air Force Two Premium では、Air Force テクノロジーの1つ、エアベアリング(プラッター浮上)のおかげでこのような問題は発生しません。Air Force テクノロジーでは、センターシャフトは単に位置決めのために存在しています。電源オフの状態ではプラッターはシャーシ上部のガラスプレートの表面に接地しています。電源をオンにするとエアーポンプが作動し、ガラスプレートとプラッターとの境界面にエアーが供給され、プラッターはガラスベースから0.01 mm(10μ)程度浮上します。回転をオンにすると静かにスムーズに回転し始めますが、負荷のかかる機械ベアリングが存在せず、摩擦などの振動や再生音に影響を与える暗騒音が発生しません。これにより、最高レベルの静寂性と完璧な安定性が実現しました。

もう1つのエアーテクノロジーが空気の力によるレコード盤吸着です。プラッター自体は非常に静かに、かつ最高の精度で回転していたとしても、レコードが反っているとトーンアームに垂直方向の動きが発生し、針先に不要な力が加わることにより振動や共振が発生いたします。このような状況では、針先のトレース能力は不安定となりレコード盤から音楽信号を忠実に拾い出すことはできません。同時にトーンアームも垂直方向に動くことにより針先はトーンアームの共振の影響も受けます。加えて反ったレコード盤はスピーカーから発せられる音楽による空気の振動の影響も受けやすくなります。音楽の振動によるレコード盤の共振振動を針先が再びピックアップしてしまうことによりフィードバックループを発生させ音楽信号を汚してしまいます。レコード盤の上にスタビライザーを載せることは反ったレコード盤の問題の解決策として推奨されることがよくありますが、これらの問題を完全に解決するわけではありません。

レコード盤吸着システムは、コントロールパネルの SUCTION ボタンを押すことにより、レコード盤とプラッターの間のエアーを吸引しレコード盤をプラッター表面に密着させます。このことはレコード盤を真っ平にすることにより針先の上下動をなくすというメリットの他に、ペラペラのレコード盤が重いプラッターと一体化するというメリットも生まれます。プラッターに密着したレコード盤は 30kg 以上の質量を得たことと等価となり、スピーカからの音楽信号による空気の振動の影響を遥かに受けづらくなるとともに、盤面が盤石の安定性を得ることで針先のトレース能力が飛躍的に向上します。

ハイブリッドサスペンションシステム

Air Force One シリーズで採用されているエアサスペンションはトップレベルの防振性を備えていますが、空気の充填とレベル調整定期的に行なう必要があります。Air Force Two シリーズの設計にあたっては、この問題に対処するため、同等の防振性を維持しながらメンテナンスフリーを実現させることを念頭に再設計いたしました。Air Frce Twoシリーズ用に開発されたサスペンションは、Two シリーズのシャーシ重量に対応し、かつその重量を4本のサスペンションそれぞれに適切に分散するように設計されています。 このユニークなサスペンションはエアーとオイルのハイブリッド構造を採用しております。上部のエアチャンバーと中央のゴム製ダイアフラムで構成され、内部にスプリングとオイルを封入しています。このダイヤフラムは小さな穴を通して上部チャンバーに接続されており、床からの振動はダイヤフラム内部のオイルとチャンバー内の空気によって減衰されます。少し複雑な機構ではございますがメンテナンスフリーで優れた防振性能を発揮いたします。

プラッターの下には平面度を高めた硬質ガラスが使用されており、空気ガラス表面にエアーを送り込むことでプラッターとガラス面の間に約 10 ミクロンの隙間をつくりだします。

シャーシの設計:
性能を犠牲にすることなく大幅なコスト削減を実現するための鍵は、シャーシの製造方法です。Air Force Two シリーズでは、精密鋳造によるアルミニウムシャーシを採用いたしました。

Air Force Two シリーズを設計する上でもっとも困難な作業は、上位モデル Air Force One シリーズのパフォーマンスを可能な限り維持しながら大幅なコスト削減を達成することでした。

Two シリーズではハイエンドターンテーブルならではの重量を維持してコストダウンを実現させるために、本体ボディを金属切削ではなく精密鋳造といたしました。上部ピースと下部ピースによる2層構造の鋳造シャーシの総重量は 33 kg に達し、エネルギーに満ちたアナログサウンドの土台をしっかりと支えます。この重量級のシャーシこそが Air Force Two シリーズの魅力そのものと言えます。

2ピース構成の鋳造アルミシャーシ(上側)

2ピース構成の鋳造アルミシャーシ(下側)

Two Premium は本体の他に、電源とエアーポンプ / エアーコンデンサーを納めた2つの筐体で構成されます。 Two シリーズではメイントーンアームとしてショートタイプ(9 inch または 10 inch)が取り付け可能です。ご注文時にご使用になるトーンアームベースをお申し出ください。トーンアームに合わせてアームベースの穴加工を行います。またオプションでロングタイプ(12 inch)のトーンアームを増設可能です。

無垢アルミ材を精密切削加工した重量 10kg のプラッターを採用。十分に大きなイナーシャとエアーベアリング機構によるプラッター浮上により、極めて静寂且つ滑らかな回転を得ています。プラッターの回転は布製ドライブベルトを介して高精度なACシンクロナスモーターが担っています。ドライブベルトは上級機と同様に、表面研磨した伸びのないポリウレタン繊維ベルトを使用しています。駆動用のACシンクロナスモーターは本体ボディから独立した強固なアルミ製ハウジングに納められ、150W出力クラスのでパワーアンプで強力に駆動されます。回転スピードはプラッター底面部の非接触センサーとマイクロプロセッサーにより常に監視され、結果としてベルトドライブ方式としては破格ともいえる回転精度を得ています。

回転スピードは 33.3 rpm と 45 rpm の切り替え方式です。さらに各回転スピードに対して、+/- 0.1%ステップでピッチコントロール機能を搭載しております。

Air Force Two はモーター部を含むターンテーブル本体の他に、エアーポンプと電源部を内蔵する別筐体ユニットで構成されています。「エアポンプ&電源ユニット」には、電動エアポンプ、エアコンデンサー、回路用電源が含まれています。頑丈なダイキャストケースに収められたモーター駆動のエアポンプは従来のエアーポンプとは比べものにならないほど静粛ですが、さらにダイキャストケースに独自のゴムサスペンションを装着することによりエアーポンプからの微振動を完全に押さえています。エアーポンプのすぐ横にはエアコンデンサーが配置され、ポンプから排出された空気を一時的に蓄え空気の脈動を完全に平滑化させています。

その他に、モーター駆動、回転制御回路、動作回路、LEDライト用の合計4つの異なる電源がユニットに含まれています。専用電源に特化した各部品によりモーターを駆動するのに十分な電力を確保し、これらの電源をターンテーブル本体から分離することで微弱な音楽信号への電気的干渉を皆無としています。

プラッターカバー付属

プラッター表面をホコリから守るアクリル製プラッターカバーを標準装備。 言うまでもなく、埃はアナログレコードの大きな敵です。表面に埃が付着した状態でレコード盤をプラッター上に置くと、埃はレコードの溝の奥深くに埋め込まれ、それを放っておくと硬く固着してしまうことさえあります。レコードプレーヤー、特にレコード盤が触れるプラッター表面は埃から守られる必要がありますが、プレーヤー全体をカバーするダストカバーではカバー自体が大きくなり過ぎて取扱しにくいという問題も孕んでいます。このような問題を回避するためのソリューションとして、Air Force One にはプラッターとの接触面のみを覆うアクリル製プラッターカバーが標準装備されています。

スペック Technical Specification

ターンテーブル本体+モーター部

シャーシ

鋳造アルミニウム(AC4C)/ ハンマートーン塗装 / 重量 33 kg

メインプラッター

アルミニウム(A5056) 精密切削加工 / 重量 10 kg

総慣性モーメント

1,244 kg・㎠

駆動方式

布ベルトドライブ (特殊表面研磨ポリエステルベルト)

駆動モーター

AC シンクロナスモーター

回転スピード

33.3rpm / 45rpm スイッチ切替え式、回転数微調整機構

ワウフラッター

0.03%以下

本体総重量

47kg

外径寸法

684(W) x 176(H) x 450(D) mm

設置に必要な寸法の目安

684(W)×480(D)mm

エアーポンプ+電源ユニット

消費電力

50W

外形寸法・重量

430(W) × 160(H) × 240(D)mm,10kg

(設置時は奥行き方向に300mm必要)

付属品

トーンアームベース(アルミニウム+ウッド)

ご使用トーンアームに合わせて加工いたします。

トーンアームによっては別途加工賃がかかる場合があります。

アクリル製プラッターカバー

ケーブル類一式、エアホース類一式、プラッター交換用工具一式

取扱説明書

オプション用品

セカンドトーンアーム用ベース(アルミ)