Vivid Audio | Moya M1

ローレンス・ディッキーの集大成ともいえるフラグシップモデル「Moya M1」

Moya M1

GIYA Series 2 Loudspeaker System

Laurance Dickieが世界的パンデミックのため10日間ホテルの部屋で隔離されたとき、すべてを実現する究極のスピーカーのアイデアを描き始めました。
開発研究が進む中で、そのコンセプトは形の上では何度も進化を遂げましたが、全ての点で楽々と余裕をもって対応できる超弩級のラウドスピーカー、特に低音域に豊かなパワーと威厳があって、どんな音楽でもジャンルでも易々と優雅に再生できるスピーカーというビジョンはずっと変わりませんでした。
テスト段階に入り、設計が具体的になり始めると、積みあげられたバスドライバーが印象的なMoyaの曲線的で荘厳なデザインが姿を現しはじめました。伸びのある低音域によってすべての音域がよくなることが初期のテストで実証されました。
もちろんスピーカーで重要なのは低音だけではありませんが、低音域は非常に重要な役割を担っています。重要なことは、低音域がシステム効率を決定するということです。高効率のミッドドライバーは比較的簡単に作れますが、低音域で設定されたレベルよりよくなることはありません。

PUSHING THE ENVELOPE

「物理の法則に従えば、ほとんどのスピーカーのパフォーマンスを決定するのは低音です。
低音域でこのように大きく動くコーンなら、振幅は大きくなりますがそれだけです。
リニア電磁的にプッシュする距離はボイスコイルと磁気ギャップの長さによって決まります。それに加えて重要なのは、それ以上動かないように引き寄せるサスペンション設計です。
従って、動く空気の体積を増やすためには、コーンの面積を増やさなければなりません。コーン面積が2倍になると3dBずつ増えます。つまり同じ音量ならコーンの偏位は半減します。コーン面積を大きくするほど、コーンのずれは小さくなり、スピーカーは余裕を持って楽に作動できるようになります。
C225ドライバーは、磁気ギャップが45㎜もあるため引き締まった切れのある動きが可能です。また8個使用されていることによってエクスカ―ジョンは8倍軽減されます。圧倒的な迫力の大音量を楽しんでいるときもドライバーはごくわずかしか動いていないのです。」

POWER IS NOTHING WITHOUT CONTROL

カーレースでパワフルな車をフルスロットルでコーナリングさせるとき、トランペットソロで高音を吹くとき、世界的バレリーナが筋肉に最大の力を入れるとき、元となるパワーはもちろんですが、パワーを使うための技巧も必要となります。
ときには、最小のものを調整するのに最大の機器が必要となることもあります。
コントロールや精度がなければ、パワーは手に負えない無秩序な力でしかありません。どの大型スピーカーでも大音量で再生することはできますが、それは目的のほんの一部です。リスナーはオーケストラのクレッシェンドの盛り上がりから最も繊細なディテールを聞き取ることが必要です。あるいは激しいドラムソロに向かって叫ぶ賞賛の声も聞きとれなければなりません。
Moya M1はこのような最大限の高精度を実現しながら、リビングルームでロックコンサートの音量を再現することができます。巨大なカヴァイエ=コル製作のパイプオルガンで奏でられるオルガンシンフォニーから90年代のハウスミュージックのローエンドバスまでMoya M1はすべての音域でオーディオの興奮をお届けします。

WHEN EIGHT IS MORE THAN ENOUGH

Moya M1を見てまず印象的なのは、8個の巨大なバスドライバーです。しかしなぜ8個なのでしょうか?それは効率とパワーハンドリングのために他なりません。
Giya G1 Spirit が2個のC225 を使っているのに比べて、Moyaはその4倍のドライバーを使いました。これは効率が6dB高まることに匹敵します。その利得の一部は20Hz以下に低音域を伸ばすために使われています。
ボイスコイルの磁路が不足すると明らかな歪みが起こりますが、あまり明らかでない現象が起こることもあります。コイルへの電力によりコイルが過熱し、抵抗が上がり、効率が下がります。コイルが230℃になると効率は6dBまで下がります。そしてスピーカーが疲労し物足りないリスニング体験しか生み出せなくなります。
パワー・コンプレッションを抑えるためには、面積の広いボイスコイル、つまり直径の大きなコイルが必要です。8個のドライバーはそれぞれ100㎜ボイスコイルがついています。これは400㎜のボイスコイルを持つ1ペアと同じです。最もパワフルな21inchドライバーでさえボイスコイルは400㎜どころか、わずか150㎜です。

MASTERING THE SEQUENCE

次の問題は、シーケンスの中で次にどのドライバーを配置するかということです。G1Sで使われているC125-75ミッドレンジは優れたドライバーですが、低音域の巨大な出力に合わせてエクスカーションが400Hzに制限されてしまいます。
あるいは、8個のバスドライバーを400Hz に引き上げるには、この巨大なバスアレイにとって合理的な限界を打破しなければなりません。ギャップを埋めるにはもうひとつの周波数帯が必要であることは明らかでした。その結果C175 バス/ミッドドライバー1ペアを追加し5ウェイクロスオーバーとしました。
コンピューターによるネットワーク分析と最適化を行い、理想的に動作するドライバーを組み合わせたシームレスな5ウェイのネットワークが完全に実現できました。
高域、中域、低域のデリケートなバランスが完璧に調和したことにより、レコードコレクションを聴くたびに新しいディテールが現れてくるような最適な体験が可能になりました。

TWEETERS MINING MATERIAL GAINS

変わった材料を使ったツイータードームは1990年代にオーディオ界に登場しました。この流れに着目したVivid Audioはいろいろな選択を検討し重要な決定を下しました。
カーボンファイバーの剛性と、カテナリーカーブを持つアルミドームと組み合わせることにより、レアで高価な素材、ベリリウムの性能に匹敵する測定結果が得られました。また主観テストではダイヤモンドツイーターよりも高い評価が得られました。
Vividの強化アルミドームがダイヤモンドより優れている点のひとつは質量が低いことです。信頼性の高いダイヤモンドシェルを作るには100ミクロン厚の層を堆積させる必要があります。またダイヤモンドの密度はアルミに比べて高いので、動的質量はアルミの3倍にもなります。
これは効率が約10dB もの大幅な低下につながります。同じ音圧を得るために1/10のパワーしか必要としないことにより、聞こえる音がどれほどよくなるかは軽視できません。

A LAYER OF BLACK MAGIC

Vivid AudioのD26ツイーターが優れた性能であることに疑いの余地はありませんが、ツイーター性能をさらに高める努力は常に続けています。そのためには新素材や塗料を常に評価しつづけています。
大きな転機はDiamond-like Coating DLCという素材との出会いでした。結晶性ダイヤモンドとほぼ同等の係数を持つこの素材は、融点よりかなり低い温度でアルミドームの表面にコーティングされます。
剛性を高めるという第一の目標以外にも、ブレークアップモードの減衰を向上させる利点もあります。DLCとアルミ基板は正反対の性質をもつため、せん断損失が高まり、ブレークアップのQは大幅に減衰されました。
D50アッパーミッドドライバーとD26高周波ドライバーもDLCの恩恵をうけていますが、新しいドライバーはそれ以上に機能が向上しています。
Vividの標準ドライバーはエネルギー含量35MGOeのマグネットを使用していますが、現在ではエネルギーが52MGOeの素材が使えるようになりました。最高音域の効率が強化され出力が2dB増加したことは重要です。
DLCによってツイーターは光沢のあるブラックとなり、外観はさらに魅力を増し、音にも”黒い魔法”の効果は大きく表れています。

MID RANGE A COMMANDING PERFORMANCE

極めて重要なミッドレンジを受け持っているのは、優れたC100Scu ミッドドライバーです。ソプラノボーカルやバイオリンにとって重要性が極めて高い中帯域で信頼性の高いつわものです。
Moya M1ではバッフルの中心という新たな位置にふさわしく、高エネルギー磁性材とセントラルポールに高純度のカッパーシールドが施され、パフォーマンスがさらに進化しました。
これによりどんな音楽信号でも磁束が安定し、劇的に歪みが低減された伸びのある高音が可能になりました。
コーンアセンブリーに3本のカーボンファイバー製リングが追加されて、ブレークアップ周波数が大幅に増加しました。有効帯域の上限、すなわちソプラノのボーカルで最も高いC6までの間により安全性が増したマージンがあります。

AN AGILE PARTNER

C175 は125Hzから550Hzまでのローミッドをカバーするという新たな役割を担っています。最低音域を再生することは要求されていませんが、この敏捷なドライバーはインパクトや緊迫感を表現するドラム音を再生するのに理想的です。
C175はGiya G2では最低音域を割り当てられていましたが、あふれるほどのパワーを長期的にハンドルできるので、ストリングスやボーカルの基礎的エネルギーが集中するこの帯域には不可欠です。
エンクロージャの全体に伸びている2つのエキスポーネンシャル・テイパー・パーティションにより、有害な固有共鳴を完全に抑えています。その結果、システムのインパクトに大きく影響する帯域で素晴らしい高精度のトランジェントが実現しました。

BASS DRIVERS ROCKING THE FOUNDATIONS

Moya M1のバスアレイは見逃せない特長のひとつです。伝説的C225-100Hドライバー8個は、各々800Wをハンドルし、新しいハイシャブ・コンフィギュレーションで配置されており、圧倒的パワーを見せつけます。
C225は放射状に分極したマグネット構造を使用し、12個の45㎜長セグメントの高エネルギーレアアースマグネットを持つ11kgの高純度スチールが配置されています。破壊不能なガラス強化フォーマーに巻き付けられたボイスコイルはエッジワウンド・カッパーリボンとなっており、巨大なパワーを楽々と処理することができます。

バスドライバーは各ペアとも、バス・モジュールが逆向きになるよう水平に配置され、マグネットはがっしりとしたスチール製タイバーで結合されています。これにより反力を完全に排除しているため重いエンクロージャが必要なくなりました。
キャビネット全体には、緩衝材をコンポジットで挟んだ多層を使用しています。内部は全体的にコンポジットによりブレーシングされ、帯域外までどんな構造状態にも十分対応できる強固な剛性を確保しています。
2つのリアクション・キャンセリング・ポートによって究極の低音域が実現されています。低域のクロスオーバー周波数が非常に低いため、均整のとれた音が可能になり、従って低音域のリニアリティを制限する乱流の影響を最小限に抑えることができます。
Vivid Audioの全シリーズと同様、Moya M1はエクスポーネンシャルアブソーバーを採用しています。低音システムでは、同心円状に配置された入れ子構造のシェルでテーパー・チャンバーを終端し、エクスポネンシャル・テーパーを正確に定義し、有害な共振を確実に消散させます。

スペック Technical Specification

システム構成

5ウェイ13ドライバーシステム

エンクロージャー

FRP 中心に軽量発泡樹脂を挟んだ3層サンドイッチ構造

スタンダード・キャビネットカラー

ご希望に応じて標準 PPG 自動車カラーからお選びいただけます

ドライバー

高域

 D26DLC – 26 mm Diamond-like Coated alloy dome unit with
Tapered

中高域

 D50DLC – 50 mm Diamond-like Coated alloy dome unit with
Tapered Tube Loading. Copper shielded radial magnet system

中域

C100SCu – 100mm carbon fifibre reinforced alloy cone driver with
Tapered Tube Loading. Copper shielded rare-earth radial magnet system

中低域

2 x C175-76 – 175 mm alloy diaphragm with 76 mm voice coil with
rare-earth radial magnet system. Tapered Tube Loading

低域

8 x C225-100H – 225 mm alloy diaphragm with 100mm voice coil in 45 mm gap rare-earth radial magnet system

ベース・ローディング

ウーファー・アブソーバーチューブ + バスレフ

スペック

能率

93dB/2.83V@1m

インピーダンス (Ω)

 5 nominal, 2.5 minimum at 40Hz

周波数特性

-6 dB points: 19 – 42,000 Hz

ツイーター D26S・ブレークアップ周波数

 > 50,000 Hz

(2nd and 3rd ハーモニクス)

 < -60dB > 100 Hz

クロスオーバー周波数

125 Hz – 550 Hz – 1,700 Hz – 4,000 Hz

最大許容入力

3,000 W

寸法

製品寸法

1,660 mm (H) x 660 mm (W) x 1,210 mm (D)

製品重量

346 kg (each)