FEATURE
自社設計・自社製造したトランスを随所に最大限活用したプリアンプ
ボリューム回路であるとか、回路間の段間結合であるとか、アンプの各所にトランスを用いることは古くから行われており音質に非常に優れた方式でしたが、オーディオグレードのトランスを作るには物量と技術が必要で、それらの理由からトランスの使用は廃れてしまいました。今となっては殆どのオーディオメーカーでトランスに対する知見を持ち合わせていないのが現在の状況です。しかし、イプシロンの大きなアドバンテージは、トランスに関する知識と技術を持ち合わせていること、自社設計したトランスを自社で手巻き製造できることにあります。PST-100mk2 は自社巻線のトランスをボリュームコントロールをはじめとして随所に使用した、他に例を見ない構成のプリアンプです。
自社設計の手巻きトランスを使用したトランスアッテネーター
ボリューム回路(アッテネーター)に、自社設計・自社製造した高性能トランスを使用。2次側巻線に31個タップを設け、トランス巻線比を変えることにより31段階のボリュームコントロールを行います。抵抗器を使用する通常のアッテネーターでは、どんなに良い素子を使用しても原理上信号エネルギーの損失は避けられませんが、トランス方式ではエネルギーのロス無くボリュームコントロールすることを可能にしています。
シンプル&ピュアな回路構成
PST-100mk2 では、信号経路から余分なものを極力取り去ったシンプルでピュアな回路構成を採用。増幅段には、超長寿命で知られる SIEMENS製 C3m 5極管をトライオード接続で使用したゼロフィードバック回路を採用。クラスA・シングルエンドのシンプルな構成で17dBのゲインを得た後、カップ リングトランスを介してボリューム回路へと引き継がれます。使用しているカップリングトランスも自社で巻いたカスタム銀線仕様です。増幅回路を極力シンプルなものとするために、真空管には固定バイパス回路を採用。信号経路内にはC3m真空管とトランスの他にはグリッド抵抗1つ とバイパスコンデンサ1つしか存在しません。
6CA4 整流管とチョークトランスによる電源回路
カスタムトランスと整流管 6CA4 による電源部に自社設計のチョークインプットトランスを使用。チョークトランスを自社設計することで真空管動作に最適な電圧を供給。MUNDORF製電解コンデンサを使用。
アクティブモードとパッシブモードを選択可能
PST-100mk2 にはSIEMENS製 C3m 5極管を使用した増幅段がボリューム回路の前段に備わっており、ボリューム回路とはカップリングトランスを介して接続されています。通常のアクティブモードでは信号は増幅段を通りますが、パッシブモードを選択すると増幅段はバイパスされ、信号はトランスボリュームのみを通るだけのパッシブプリアンプとして動作させることも可能です。
ノブ無し、スイッチ無し
内部構成を極力シンプルにすることにこだわり、本体にはメイン電源スイッチがあるのみです。すべての操作はリモコンで行います。制御回路は最小限とし機器内部での高周波ノイズ発生を極限にまで抑えています。